依頼者は、交通事故により顔面に等級9級の醜状痕を遺された20代の男性(会社員)です。
依頼者の醜状痕について後遺障害等級9級が認定されました。
桜風法律事務所は、等級9級に該当する醜状痕が遺ったことを理由に、労働能力喪失率を35%、67歳までを労働能力喪失期間とする後遺障害逸失利益を請求しました。
ところが、加害者側は、顔面の醜状痕は内勤業務に影響を与えないとの理由で、後遺障害逸失利益の賠償を一切拒絶しました。
注目 | 醜状痕に関する後遺障害逸失利益は否定される傾向にある |
---|
賠償実務上、後遺障害が醜状痕である場合、被害者がモデルやタレントなどでない限り後遺障害逸失利益に関する賠償が拒絶される傾向にあります。
このような態度は、顔面にきずあとが遺ったとしても、身体を自由に動かすに支障はないのだから、労働に支障が生じることはない、との考えを前提とします。
依頼者は、顔面に醜状痕が残ったことにより、他人の目が気になってしまい、対人業務において労働意欲が減退してしまっている状態でした。
労働意欲の減退が原因となり、将来において収入の減少が十分に予想される状況であったため、交通事故紛争センターに再就職の機会が少なくなったり、対人関係がうまくいかなくなるなど、大きな支障を受けることになります。
よって、桜風法律事務所は、依頼者と協議して、交通事故紛争処理センターに解決斡旋の申立てをしました。
そして、同センターにおいて以下のような主張を展開しました。
・顔面に醜状痕が残ったことにより、他人の目が気になってしまい、依頼者の労働意欲が減退していること。
・再就職の機会が制限されてしまっていること(営業職には就くことが困難、顔面醜状によって面接官に悪印象を持たれやすい。)。
・顔面醜状であっても後遺障害逸失利益を肯定した判例がいくつもあること。
■依頼者にご提供できた経済的利益
同センターは、男性の顔面醜状痕であったとしても労働能力が喪失してしまう状況を認定し、症状固定以降5年間の労働能力喪失率を20%、その後の5年間の労働能力喪失率を14%として算定する後遺障害逸失利益の賠償案を提示しました。
依頼者及び相手方が上記賠償案に了解したため、和解が成立し、依頼者に後遺障害逸失利益をご提供することができました。