等級 | 障害の程度 | 自賠責保険金 | 労災保険金 |
第12級 | ■自賠責保険における認定要件 神経障害の存在が医学的に証明できること
■労災保険における認定要件 通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度支障があるもの | 224万円 | ・障害補償一時金:給付基礎日額の156日分 ・障害特別支給金:20万円 ・障害特別一時金:算定基礎日額の156日分 |
第14級 | ■自賠責保険上の要件 神経障害の存在が医学的に説明できること
■労災保険上の要件 通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すこと | 75万円 | ・障害補償一時金:給付基礎日額の56日分 ・障害特別支給金:8万円 ・障害特別一時金:算定基礎日額の56日分 |
■末梢神経に関する基礎知識
脳および脊髄から出る神経を言います。
抹消神経は脳脊髄神経と自律神経に分けられます。
脳脊髄神経は脳神経と脊髄神経に分けられ、自律神経は交感神経と副交感神経に分けられます。
脳神経は12対、頸髄神経は、頸神経8対、胸神経12対、腰神経5対、仙骨神経5対、尾骨神経1対の合計31対あります。
■末梢神経障害に伴う各症状
筋力緊張の減退・消失、反射の減弱・消失、筋萎縮、末梢神経支配領域に一致する知覚障害が出現します。
神経が断裂すると、損傷した神経の支配する皮膚の領域に感覚脱失、痛覚脱失などの感覚障害が生じます。
神経の断裂が不完全であれば、感覚鈍麻、痛覚鈍麻が生じます。
発汗障害、血管運動障害、栄養障害などが生じます。
自賠責保険での認定では、神経障害の存在を、「医学的に証明できる」場合には12級が、「医学的に説明できる」場合にとどまる場合には14級が、認定されます。
「医学的に証明できる」とは、通常、①画像所見や神経学的検査を通じて神経障害の発症原因が認められること、②神経障害の発症原因が事故によって形成されたものであると判断されること、をいいます。
労災保険での認定では、強度の疼痛が出現する場合には12級が、常時の疼痛にとどまる場合には14級が認定されます。
なお、文字面だけみると自賠責保険での認定と労災保険での認定では、要件が異なるように思えます。
しかしながら、当職としては自賠責保険、労災保険それぞれの認定要件の間にそれほど変わりはしないのではないか、と考えております。
といいますのは、経験上、「強度の疼痛」が出現するものと判断されて12級が認定される場合とは、他覚的的所見によって「強度の疼痛」が出現するものと認定される場合、ではないか、と考えているからです。
1 ジャクソンテスト、スパーリングテスト
頸椎にかかる神経の異常を確認する検査
2 イートンテスト、アドソンテスト、ライトテスト、エデンテスト、モーレーテスト、ルーステスト
胸郭出口症候群の診断に用いられる検査
3 アレンテスト
橈骨動脈と尺骨動脈の閉塞の診断に用いられる検査
4 フロマン兆候
尺骨神経麻痺で認められる兆候
5 ラセーグ兆候、ラセーグテスト
下位腰椎の椎間板ヘルニアに対するもっとも重要な疼痛誘発検査とされる。
6 ブラガードテスト尾
腰神経に対する検査
7 ホフマン反射
障害の部位が中枢にあるのか末梢にあるのかを確認できる。
8 ヴァンテンベルグ反射
正中神経と尺骨神経に異常が認められる場合に認められる兆候
9 バビンスキー兆候、クローヌス
錐体路障害を疑う兆候
10 筋電図検査
脊髄全角細胞障害、末梢神経障害、筋障害の存否を確認できる。
11 神経伝導速度検査
運動及び感覚末梢神経の検査法。
末梢神経障害、特に脱髄性病変があると神経の伝導速度は低下する。
12 サーモグラフィ
熱産生や熱の伝達に関与する脈管系・神経系などの期間の機能評価及び疾患の診断などに用いられる。