交通事故が原因となって自動車などの所有物が破損した場合において、①過失割合が問題となる、②時価額が問題となる、③新車を要求する、などの諸事情がある場合には、当事者間において円満な解決を図ることは困難です。
上記①過失割合が問題となる事件の取り組みに関しては別ページでご紹介しておりますので、ここでは②時価額が問題となる事件及び③新車を要求する事件に対する桜風法律事務所の取り組み方をご紹介します。
時価額が問題となる事件
物は使用すればするほど、時が経てば経つほど市場価値が減少していくのが通常です。
そのため、交通事故発生当時において破損した所有物の持つ市場価値が修理金額を下回るケースが出てきます(これを経済的全損)といいます。
判例は、経済的全損の場合、加害者は、修理費用ではなく、その物が持つ市場価値を賠償すれば損害賠償として足りる、としています。
すなわち、物が壊されたにもかかわらず、修理費用を支払ってもらえないのです。
残念でありますが、判例の判断は強固なものであり、修理金額>市場価格の状況において訴訟提起をしても、修理金額の賠償が認められることはありません。
もっとも、破損された物が持つ市場価格が相手方が主張する金額よりも高額であるなら、相手方が主張する金額よりも高額な金額の賠償が認められます。
そこで、桜風法律事務所では、相手方から経済的全損を理由に修理金額の支払わないと主張する事件においては、破損した物の時価額が相手方の主張通りのものであるかを検討するようにしております。
例えば、交通事故により破損した自動車の修理費用が70万円、保険会社がレッドブックの記載を理由として主張する時価額が40万円とします。
この場合、保険会社に対して、根拠を持たずに70万円を支払うように請求しても、保険会社は70万円を支払いません。
しかし、もし、破損した車両と同年式・同型車種の車両が60万円で取引されている実態が明らかにできれば、保険会社から60万円を支払ってもらうことが可能となります。
桜風法律事務所は60万円で取引されている実態を明らかにできるか否かを検討していきます。
新車を要求する事件
購入して間もない自動車が破損した場合、破損した自動車など乗りたくない、新車を購入する費用を支払って欲しい、と思われるお気持ちはごもっともなことです。
しかし、判例は、修復不可能な程度にまで破損しているか(物理的全損)、経済的全損(修理金額>時価額)の状態でない限り、買換差額費(新車価格から破損した車両の売却価格の差額)の支払いを認めません。
すなわち、購入からまもない時期に破損された場合であっても、判例は修理費を支払えば損害賠償として足りるとしているのです。
この結論は、新車が購入してから20分後に事故に遭った場合でも変わりません。
もっとも、日本の自動車市場では、事故により損傷したこと自体がその自動車の持つ市場価値を減額させる傾向にあります。
そして、判例は、新車購入から2年ないし3年が経過する以前に交通事故被害にあった場合と限定していますが、事故車であることを理由とする市場価値の減少分を損害賠償として認めています(これを評価損といいます。)。
桜風法律事務所は、新車購入から3年以内に交通事故被害にあった場合、相手方に対して評価損を請求します。
なお、新車購入から3年以降に交通事故被害にあった場合でも、評価損が認容される余地がないわけではありません。その場合でもご相談ください。類似判例を検索して助言差し上げます。